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Column 07

SoEとSoRについて

SoR、SoEといった言葉をご存知でしょうか。
従来の基幹系システムなどをSoRと指し、UIやUXに力を入れた昨今多く見られるシステムをSoEと表すそうです。
それぞれの違いや意味とは何なのかご紹介します。

1. システムの見方の一つ

不勉強で最近知ったことにSoRSoEという言葉があります。
Systems of RecordSystems of Engagementの略語のようです。
Systems of Recordは記録することが一義的であるシステム全般のことを示す用語で、Systems of Engagementは顧客とつながることの価値が一義的なシステムのことを示しています。
従来バックエンドと呼ばれていたり、基幹系と呼ばれていたりしたようなシステムはSoRとして表され、もっとUI・UXに力を入れてエンドユーザに使ってもらうことをシステムの価値とするようなシステムをSoEとして表しています。
20年も前だとSoEのシステムというのは本当に先端でそれを進めている人達が関与するだけだったので、そもそもシステムの種別として出てくるような話ではなかったのかと思いますが、今や一般的に開発の前提としてどちらの色が濃いシステムであるのかというようなことが検討されるべき身近な話題になってきたということでしょう。

簡便にWikipediaでソースを紐解いてみると、2012年にForbesにでた"The Move from Systems of Record to Systems of Engagement"という記事が出てきました。
当時の経理や人事などERPシステムで提供されるようなものに代表される伝統的に使わざるを得ない人々が使うようなものがSystems or Recordであり、メールやコラボレーションシステムなど、人々を繋ぐ目的のシステムをSystems of Engagementであると定義しています。
この記事では、同じ人事のシステムでもユーザインタフェースが優れたSystems of Engagementと呼べるような人事のシステムが世に出てきており、使う立場の人たちには今こそ新しい使い勝手のシステムを選べる時代がやってきました。
もし作る方だったらば、古いタブベースのユーザインターフェースなんて捨て去って新しくやり直す時が来たと煽っているでしょう。

以来どう変わってきているかはその後を生きている皆さまの感想に委ねたいと思いますが、私は当時記事を書いたアナリストの見方は違っておらず時代の先端を見極める人はすごいなと思います。
先日まで個人的にも会計のシステムを使わざるを得ない状況にいましたが、あるクラウド会計ソフトを使ったところ、まさにSystems of Engagementのソフトとして組まれているなあと思っていました。
もともとソフトウェア業の個人事業主の会計処理などたかが知れたものなので、まるで大袈裟なシステムは不要で、なんなら、全部手処理でもいいのではと思いますが、そのソフトを使うことで、本当にスマホでぽちぽちやるだけで会計の処理が済んでしまいます。
年度末の処理にしてもソフトのガイダンスにしたがって、言われるがままに数字を入れていけば最後まで処理は終わってしまいます。
当然、結果として作成される損益計算書や貸借対照表はちゃんと出来ているのです。

2. システムの本質は

Systems of RecordとSystems of Engagementの話というのは、実は対立している軸ではなく、利用者の捉え方の違いや、そこから再度考慮を進めてユースケースに向き合い、適切なアーキテクチャの設計を行ってシステム構築を進めていくという王道の話なのだろうと思います。

先ほどの会計ソフトの話をまた例に出せば、(1ユーザであったくらいの知識しかないですが)彼らは主たる顧客として個人事業主や小規模な事業を行っているユーザをターゲットに設定し、そのターゲットにとって本当に必要なことはなんであるかを考察し、必要なシステムを構築して行っています。
そのため、一般的な会計ソフトでよくありがちな入力画面ではなく、極力データは連携されて、仕訳も一度行えば似たような仕訳が来た時にはサジェストして入力を楽にしてくれたりしてくれます。
最後の集計も大まかにまとめて問題の無いような部分については、かなりざっくりと割り切りをしています。
これはSystems of Recordのシステムを作りたく無いから見た目に拘ったソフトを作るということではなく、エンドユーザの必要とするものが何かを真摯に考え抜き寄り添ってシステムを構築し、結果としてそれがSystems of Engagementのシステムとして認められることになり、ある調査によるとクラウド会計ソフトのシェアNo.1を取るほどのニッチを得たのでしょう。

3. まとめ

こういったようなシステムを検証するということを考えた際に、最低限要求されることとしては、正しく会計処理が行えることです。
ただし、真に望まれるニーズとしては、会計処理についてのバックボーンを持ち、会計処理が正しく行えることは当然のことながら、設定されている顧客層についての理解を深め、彼らが欲している要求について、答えを提供するシステムになっているのかどうか、ということが判断できるような人員なのだと思います。
一つの論拠としては現在、そのソフトメーカーには日本の検証業界のそうそうたるメンバーが終結してきていることがあります。
通りいっぺんの仕事ではない醍醐味があるのでしょう。
弊社もそういった仕事に取り組めるように研鑽していきたいものです。

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