
アジャイル開発の手法ごとによる特徴
アジャイル開発はソフトウェアの開発手法の一つであり、仕様変化への柔軟な対応ができる開発スタイルです。
その手法は複数あり、QAチームの役割は手法ごとに異なる要素を持ちます。
今回は代表的な3つのアジャイル手法に焦点を当て、それぞれの手法におけるQAチームの役割についてご紹介します。
1. 代表的な3つの手法
はじめにQAチームの役割について考える前に、アジャイル開発自体の特徴や重要性について振り返ってみることが重要です。開発手法にはいくつかの異なるアプローチがあり、それぞれの手法には独自の特徴があります。
① スクラム
スクラム開発は、最も有名なアジャイル開発の手法で、ラグビーのスクラムが語源になります。
「スプリント」と呼ばれる、1つ以上の成果物を仕上げる一定期間(1〜4週間)の単位を、短期間かつ複数回繰り返し作業を進めていきます。
この手法では、メンバー自身がイテレーションごとに計画から機能の品質確認まで行います。チーム全体で進捗管理や問題解決が行われるので、コミュニケーション力や協調性が重要です。
チームワークやコミュニケーションが不足すると、リリースした機能が正常に動作しない、開発に遅れがし生じるなどの問題に繋がる可能性があります。
② エクストリーム・プログラミング(XP)
エクストリーム・プログラミング(XP)は、変化に対応しながら品質の高いソフトウェア開発を目指すプロセスです。
2名のプログラマーが共同で作業をし、一緒にコードを作成・確認していく「ペアプログラミング(ペアプロ)」が代表的です。一人がコードを記述し、もう一人がそのコードをレビューします。異なる視点からコードを確認するため、問題を検出しやすいなど多くのメリットがあります。
XPでは、顧客や開発を共に行うプログラマーとのやりとりが頻繁に発生するため、スクラム同様に密なコミュニケーションと協力が不可欠です。
③ ユーザー機能駆動開発(FDD)
ユーザー機能駆動開発(FDD)は、実際に動作するソフトウェアを適切な間隔で繰り返し開発する手法です。
FDDでは、「フィーチャーリスト」と呼ばれる開発すべき機能を網羅したリストを作成し、そのリストに基づいて機能ごとに計画、設計、構築を進めます。
FDDは、「顧客・ユーザーにとって必要な機能(フィーチャー)」に焦点を当てた開発手法であり、顧客の価値を最大化することを目指します。
2. 開発手法ごとのQAチームの携わりかた
次に、開発手法ごとにQAチームが果たす役割や重要性についてご説明いたします。
アジャイル開発は、変化に対応し、顧客価値を迅速に提案することを目指す開発手法です。そのため品質保証は欠かせない要素であり、QAチームはその中核を担います。
すでに紹介した代表的な3つの手法において、QAチームがどのように開発プロセスをサポートし、品質を確保するかを探求します。
1.スクラム
スクラムでは、QAチームも開発チームの一部として活動し、開発とQAの作業が密接に統合されます。QAチームは開発チームと協力しユーザーストーリーのテストを実施し、スプリント中に品質を確保します。
毎日のミーティングやスプリントレビューを通じて、QAチームは開発の進捗状況や品質に関する情報をチーム全体に共有します。
2.エクストリーム・プログラミング(XP)
XPでは、開発チームと密接に連携し、ペアプロやテスト駆動開発(TDD)を通じて品質を担保します。開発者とQAチームは一緒に作業し、テストケースを作成、コードをテストします。これにより早期のバグ検出と修正が可能となります。
3.ユーザー機能駆動開発(FDD)
FDDでは、各機能(フィーチャー)に対するテスト計画や品質管理が重要です。QAチームは、開発チームと協力して各機能のテストを計画し、実施します。
開発チームが新しい機能を追加するたびに、QAチームはそれらの機能に対するテストを行い、品質を確保します。
各手法において、QAチームは開発チームと密接に連携し、品質を確保するためのテストや品質管理を担当します。開発とQAが連携して作業を行うことで、より高い品質のソフトウェアを提供することが可能となります。
3. まとめ
今回、アジャイル開発の代表的な開発手法の特徴と、QAチームの携わりかたについてご紹介いたしました。
アジャイル開発におけるQAチームは、単なるバグ検出だけでなく顧客のニーズを理解し顧客価値を最大化するための重要なチームメンバーです。
そのため、QAチームとして携わる際には開発手法を理解する必要があります。
スクラム、XP、FDDはそれぞれ異なるアプローチを持ちながらも、変化に強く効率的な開発を目指すという共通点を持っています。開発手法は多岐にわたりますが、プロジェクトの特性やチーム状況に応じて最適な手法を選択することで、アジャイル開発の真価を発揮することができると考えています。