UWSCを用いたテスト自動化
近年、手作業で行っていた検証テストを効率化するため、テストの自動化が求められています。そのため、様々なツールが開発されていますが、コストや使いやすさが異なり、どのツールを使用すべきなのか判断に悩むところです。
そこで今回は、私が実際に経験したUWSCを使用したテスト自動化について紹介しようと思います。
1. UWSCとは
UWSC(Umiumi Windows Script)とは Windows上での作業を自動化するツールで、マウスの動きやキーボード操作を記憶し、指定時間に指定回数再現する機能があります。
プログラミングのコードを読める程度の知識があれば、単純作業の再現を可能とします。またExcelなどと連携すれば、複数の処理を行うことも可能です。
①メリット
UWSCを使用する際の利点として、“コストの低さ”が挙げられます。Windows環境下であれば、無償で使用することができるためです。複雑な環境構築も必要ないので、外部のサポートも必要ありません。
また起動後の操作も単純で、記録した動作を読み込んで再生すると繰り返しがスタートします。スタートの時間や繰り返しの回数などを選択し、繰り返しを開始できます。
②デメリット
UWSCの欠点はいくつか存在します。
公式のサイトは現在閲覧ができないため、Vector(オンラインソフトウェアのダウンロードサイト) からダウンロードする必要があります。
また長期間更新されていないことにより、セキュリティ面の低さが予想されます 。そのため、実際にUWSCを使用する際は、セキュリティ部門と相談した上でダウンロードを行いましょう。
他にも、複雑な動作を要求するのは難しいこと、OSがWindowsでないと機能しないことなど、制限も多いです。
②その他テスト自動化ツール
近年のテスト自動化ツールはAIを用いたものが増えてきました。ソフトの変更に合わせて自動でスクリプトを変更できるので、画面デザインや仕様変更が多い開発では重宝されます。しかし、コスト面での課題を筆頭にAIも完璧に対応できるわけではないなど、いくつかの課題が挙げられます。
一方で、UWSCは全て技術者の手によって行わなくてはいけませんが、求められるスキルはAIのそれに比べれば高くありません。また、微調整を行いたい時にも、簡単に変更を行うことができます。
2. UWSCを用いたテスト自動化
①リグレッションテスト
UWSCはリグレッションテストを行う際に使用するのが効果的です。例えば、 “ソフトを立ち上げ、キャンセルする動作を10000回繰り返す”など単純作業を自動で行います。しかし、エラーなどが生じた際は自動で復帰することが困難です。
②リグレッションテストでの操作感
UWSCの設定は非常に簡単で、リグレッションテストの手順も簡単に作成することができます 。手順が記録されたUWSCファイル の中身を少し変更するだけで、微調整も容易です。
一方で、何度か使用するうちに問題点にぶつかることもあります。
まず、繰り返しの最中でマウスカーソルがずれてしまうことがあります。これはPC内で処理が完了する前に次の行動指示が出てしまい、想定外の場所で動作してしまうからです。この問題を回避するために、次の動作を開始する前に数秒の間を作ることが解決策の一つになります。
また、モニターのサイズやPCのスペックが変更されると毎回手順ファイルを作り直す必要があることも課題です。
3. まとめ
ツールごとに一長一短があり、実際に使用してみないと利点も欠点も見えないことがあると思います。今回紹介したUWSCはセキュリティ面では課題があるツール にはなりますが、低コストで始めやすく、望むシナリオを簡単に作成できるといった利点があります。
テストの自動化ツールの選択は「実際に行いたいこと」「コスト」「期間」などを見定めることが重要なポイントとなります。UWSCを選択の候補に入れることも考えてみてはいかがでしょうか。