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ビッグデータとは|活用事例とメリット・デメリットを解説

『ビッグデータ』という言葉を耳にしたことがある人は多いと思います。
とはいえ、「ビッグデータって何?」と思う人も多く、正しく理解して活用している方は少ないでしょう。

本コラムでは、ビッグデータの意味やメリット、デメリット、活用事例を紹介します。

1. ビッグデータとは

「ビッグ」というと「大量のデータ」を思い浮かべるかもしれませんが、データが多いだけではありません。

ビッグデータとは、一般的に従来のシステムでは取り扱うことが困難で複雑なデータの集まりと定義されることが多いです。 また、ビッグデータはデータの大きさ(Volume)、頻度(Velocity)、データの種類(Variety)の3つの特徴があります。 (3つの頭文字をとって「3V」といいます)。つまり、ビッグデータとは日々、膨大かつ高頻度で蓄積される様々な種類のデータのことです。

総務省が掲載している「平成29年版 情報通信白書」では、このように定義されています。

デジタル化の更なる進展やネットワークの高度化、またスマートフォンやセンサー等IoT関連機器の小型化・低コスト化によるIoTの進展により、スマートフォン等を通じた位置情報や行動履歴、インターネットやテレビでの視聴・消費行動等に関する情報、また小型化したセンサー等から得られる膨大なデータ、すなわちビッグデータを効率的に収集・共有できる環境が実現されつつある

引用元:[総務省, 2017]

2. ビッグデータを使うメリット、デメリット

今やビッグデータはIT業界だけでなくビジネス全般で使われています。
では、実際にビッグデータを使うと、どのようなメリット、デメリットがあるのかを紹介します。

メリット①:マーケティングの効率化

大量の種類のデータがあるからこそ、そのデータを解析し、活用することで消費者のニーズを予測することができます。それにより、どこに広告を打てば良いのか、商品をPRすれば良いのかが分かります。

例えば、ショッピングサイトであれば消費者が購入した商品に類似した商品や、他の購入者が一緒に購入していた商品を提示したりします。これもビッグデータによるマーケティングの一種です。

このように、ビッグデータを活用することで潜在顧客のニーズに適した効率の良いマーケティングが実施できます。

メリット②:高精度に未来の予測が可能

例えば、明日の天気や電車の混雑状況、渋滞状況、橋や道路の劣化状態など未来で起こりうることも、ビッグデータを活用することで予測可能になります。それにより、望まない出来事の回避や対策を行うなどの備えができます。他にも、機械や設備の稼働状況をデータで収集することで、事故や故障を未然に防ぐこともできます。

このように、ビッグデータを用いることで起こりうる未来を予測できるため、私たちの安心安全な暮らしを実現できます。

デメリット①:プライバシーに関する不安

大量のデータの収集と蓄積によって「個人を特定されてしまうのではないか」という不安からビッグデータに対し嫌悪感を抱く消費者も一定数います。
これは根拠のない不安ではなく現実に起こりえる問題です。

例えば、「Aさんが住んでいる都道府県」の情報だけでは特定しにくいですが、「毎週Aさんが行くお店」という情報が加わると、ある程度特定できてしまいます。
ですので、ビッグデータを活用する企業は個人情報保護法を始めとした法律や政府のガイドラインなどに沿って慎重に取り扱う必要があります。

デメリット②:管理、分析のコスト

集めたデータが増えれば増えるほど管理する費用やシステムのメンテナンス費用などが必要になってきます。その管理が適切でないと情報流出などの原因になり、企業の社会的信頼が失われます。また、ビッグデータを活用しようと大量のデータを分析するのもコストがかかります。

大量のデータをビジネスで活用できる反面、そのデータを管理、分析するためのコストが必要になることも覚えておきましょう。

デメリット③:システムの品質

例えば、ビッグデータを活用するためにシステムを導入する際、導入後にシステム全体の品質が低くなってしまう可能性はゼロではありません。
また、データ量がどれだけ増えても、それに耐えうるシステム、処理速度が変わらないシステムでないと業務に支障をきたしてしまいます。なので、導入するシステム自体の品質も考えなければなりません。

ビッグデータの活用を検討する際は導入するシステムの品質や、既存のシステムの適合性なども考慮することを忘れないようにしましょう。
それを怠ると、システムを導入したのは良いけど上手く稼働しない、システムの連携漏れが発生するなどの業務効率の悪化や品質の悪化という事態を引き起こしてしまいます。

3. ビッグデータの活用事例

ビッグデータのメリット、デメリットを理解したうえで、実際に活用している企業をいくつか紹介します。

① 流通業における活用事例

広島県を本拠地とするパンの製造・販売事業者であるA社は、製販一体体制で作業をしており、在庫リスクや売り切れによる機会損失を防ぐために社内独自の販売管理システムを導入しました。
このシステムではPOSシステムからの販売履歴情報を分析し、来店客数と紐づけることで、商品の売れ行きパターンを予測可能にしました。これにより、商品ごとの製造量を予測することができ、より精度の高い製造計画を策定できるようになりました。
その結果、半年間で売上が1.1%増加し、在庫リスクや売れ残りといった損失回避を実現しました。

② 清涼飲料の自動販売機における活用事例

自動販売機で有名なD社はビッグデータを用いて、自動販売機の商品サンプルの配置を決めています。

以前までは「Zの法則」という人の視線を利用して商品の配置を決めていました。しかし、自動販売機に「アイトラッキングデータ」というシステムを導入し、消費者の視線がどこに集中し、商品を認識しているのかをデータで収集しました。
そして、そこで得たデータを分析すると、消費者の視線が下段に集まることが分かりました。その結果を基に主力商品を下段に配置したところ、売り上げが増加しました。

このように、人の行動パターンを高精度に分析することで、売上増加に繋げることができるのがビッグデータの強みです。

③ インフラ(道路交通)における活用事例

株式会社N社は災害時の異常検知などを目的にソフトウェアシステムを開発しました。このシステムはセンサーを用いて変位、加速度、ひずみなどのデータを収集し、橋梁の状態をリアルタイムかつ継続的に監視することができます。道路や橋の構造物は温度や気候により状態が変わってくるので、長期間データを継続的に取得することは重要になってきます。

このシステムを活用することで、風向・風速、雨量などの気象情報や、ひずみを基に計算した通行車両の重量情報などを取得できます。 取得したデータを分析することで、構造物の異常検知や点検・補修の優先度の検討、通行規制の判断、画像データと組み合わせることで車両の特定ができ、重量制限を超過した車両の検知などに役立てることができます。

このようにビッグデータは私たちが過ごす生活の安全性を考慮する際にも使われます。

④ 林業における活用事例

弊社のグループ会社である株式会社JDRONEでは、計測・調査対象に合わせたドローンを使用し、これまでのデータと独自のノウハウを織り交ぜた作業方法を展開しています。

近年では、神奈川県秦野市にドローンによる森林調査をご提案し、計測用ドローンやマルチスペクトルカメラ搭載ドローンを使用した枯損木の調査を行っております。 マルチスペクトルカメラで撮影することにより NDVI(正規化植生指数)を相対的に調べることができ、ナラ枯れや松くい虫被害の早期発見につながりました。 また計測用ドローンで撮影をする事で、対象となった樹木の位置を正確に把握することができ、現地調査にかかる労力と時間を削減することができました。

4. まとめ

ビッグデータは今や様々な分野で活用され、日々大量のデータを蓄積しています。先ほどの事例でもあったように、既に導入している企業は着々と売り上げを伸ばし成長しています。
そして、今後さらにビッグデータが利用される分野が増えていき、導入する企業は増えていくでしょう。
しかしその反面、導入するシステムの品質などを考慮しないと、業務効率の悪化はもちろんのこと、データや個人情報の流出に繋がりかねません。そうなると、お客様の満足度は下がり、企業としての信頼も失ってしまいます。
「ビッグデータを活用するためにシステムを導入すればよい」という考えだけでなく、「導入するシステムの品質、導入後のシステム全体の品質は大丈夫だろうか」も一緒に検討すると、より効率よくビッグデータを活用できると思います。

当社では客観的に製品およびシステムの検証作業を行い、品質評価や品質向上の支援をお手伝いする第三者検証サービスを行っています。 「今後システムを導入して業務の効率化を図りたいが、品質は大丈夫だろうか」、「システムの品質評価をする時間も人手もないが、品質は必ず担保したい」とお悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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